日本で暮らす外国人が、税務相談で困る理由

飛び立たない国際仕事ノート | 日本で暮らす外国人が、税務相談で困る理由

日本に住む外国人から税務相談を受けていると、
「誰に聞けばいいのか分からなかった」
「以前にも相談したけれど、担当者によって話が違った」
と言われることがあります。

税務署もあります。税理士もいます。
無料の相談窓口もあります。

それでも、税務について相談できる相手がいないと感じている人は、意外と多いです。
相談先があることと、安心して相談できる相手がいることは、同じではありません。

もくじ

どこに聞けばいいのか分からない

外国人の相談は、税金だけで完結しないことがあります。

在留資格、海外所得、社会保険、会社設立、海外送金、母国での申告などが関係します。税務署に聞くべきなのか、税理士なのか、行政書士なのか、社会保険労務士なのか、本人には判断できません。

「相談先がない」のではなく、相談先を選ぶための知識まで本人に求められていることが問題です。

無料相談もあります。では、そこに相談すればよいのでしょうか。

まず、無料相談そのものを知らない方がいます。
また、相談窓口を知っていたとしても、多くは日本語でのやり取りを前提としています。

英語で対応してもらえたり、パートナーなどを介して日本語で相談できたりすれば、無料相談を利用できるでしょう。
しかし、本人だけで利用するには、ハードルが高い場合があります。

英語が通じることと、分かってもらえることは違う

英語で会話ができても、日本の制度を前提から説明できるとは限りません。

相談者にとっては、日本の制度が自国の制度とどのように違うのか分からず、どこに疑問を感じているのかを、うまく言葉にできないことがあります。

逆に、税務に詳しい側も、相談者が何を不安に感じているのかを、母国の制度との違いまで含めて把握するのは簡単ではありません。

私自身、学生の頃から外国人の相談を受けてきましたが、「そこを疑問に感じていたのか」と、後から気づくことがあります。

英語が通じていても、相手が持っている前提をつかめていなければ、十分に向き合えているとはいえません。相談者の側も、何をどう説明すればよいのか分からないまま話していることがあります。

必要なのは単なる英訳ではありません。
知識を「私はどうすればよいのか」という形に落とし込み、相談者が納得できるように整理することです。

  • 何が論点なのか
  • 何を確認する必要があるのか
  • 次に誰へ相談すべきなのか(税理士なのか、他の専門家なのか)

担当者によって答えが変わる

税務署に相談したところ、最初の担当者からは申告不要と言われた。しかし、別の担当者には申告が必要と言われた。

税務署を否定したいわけではありません。
短い説明だけでは前提条件が十分に伝わらず、回答が変わることがあるという一例です。

無料相談を知っていても困るのは、聞くたびに回答が変わり、どの回答を信じればよいのか分からなくなることがあるからです。

特に英語での相談では、前提条件を短時間で正確に伝えることが難しく、十分な確認に至らない場合もあるでしょう。

答えるだけではなく、整理する仕事

私の仕事は、すべての質問にその場で答えることではありません。

知識や過去の経験から、すぐに答えられることもあります。ただ、答えだけを伝えても、前提が少し変われば役に立たなくなることがあります。

そうならないように、相談者の状況を整理し、税務上の論点を分けることを意識しています。必要であれば、別の専門家につなぐこともあります。

不必要に費用をかけてもらうつもりはありません。ただ、日本では専門家ごとに対応できる範囲が分かれています。その範囲を誤解している方には、説明するようにしています。

相談が終わったときに、「何が問題なのか分からない」という状態から、「次に何をすればよいか分かる」という状態になってもらう。

英語で税務相談を受ける仕事には、そのような役割もあると感じています。

【今日の余白】
Spotifyを再開しています。
無料のものだとCMが多くなってしまうのと、気分を変えたいなと。

けっこういいですね。
ほとんど制限なく聞けるし見られるので、いい感じです。

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