日本通の英語話者の方とメールやチャットのやり取りをする際は、「さん」を使うことがあります。
お互いのバックグラウンドが似ているということで、なんとなくのちょうどいい敬称度合いがあるからです。
日本語のsanの距離感
メールなどで、最初に「さん」をつけるのは、日本語ではちょっとカジュアルな感じがします。
ただ、これをさんにする場合は、適度な距離感が出せます。
私の場合は、”Aki-san”とか、”Aki San”などと入れてもらっています。
返答をする際にも、〇〇-sanというように返すことがあります。
もちろん全てではなく、アメリカから直接問い合わせをもらっている場合のお客さんであれば、Mr.〇〇などと返すこともあります。相手の日本語への理解や状況が分からないからという理由でしょう。ただ、最近のテキスト文化からすると、少し堅苦しいです。年齢層などもあるでしょうが。
さりとて、「Hi, 〇〇」というのも、ここではなぁという場合、「-san」がちょうどいいです。
“〇〇-san” はちょうど中間ってイメージで使っています。Non-Japanese向けの適度な距離感が出せます。
なお、相手の日本語能力が分からない場合の方が私は多いです。
ふとしたときに、別の人とやり取りをしているのを見たら、流暢な日本語を話している場合がけっこうあります。
性別のぼかし
〇〇-sanがいいのは、性別を意識しなくていいからという点もあります。
日本人から見ると、男性なのか女性のなのか、わからない名前があります。
調べてでてくる場合もあれば、おそらく「女性」程度でわかる場合も。
どちらでもいいものとして使えます。
また、生まれながらに持っていて変えることができないものについて、とやかく言及しなくていい良さがあります。一般性を帯びた言葉の使い方について世間で論争はさておき、個人として向き合った相手に対して、優しくありたい場合に役立つ表現です。
文化的に寄せることへの傲慢さがあるか
便利とはいいましたが、あまり「-san」を多様しないようにもしています。
誰しもが日本文化に理解があるわけでもなく、日本文化を知りたいわけではなく、いわゆるユニバーサルに通じる表現でもないからです。
こういう話はありますが、使いたい人は使えばいいし、使いたくなければやめればいいのです。
大阪・関西万博に出展する海外パビリオン関係者と日本側のやりとりで、名前に「san(さん)」を付けて呼ぶコミュニケーションが〝共通言語〟として広まっている。一定の敬意を表せる上、相手の性別や肩書を問わない使い勝手の良さが評判で、日本国際博覧会協会(万博協会)の関係者は「それぞれの国に帰ってからも使ってほしい」と期待を寄せる。
名前「さん付け」、万博共通語に 海外館スタッフ「性別問わず便利」 日本流マナーが評判(日本経済新聞、2025年6月5日 14:30)
ロックを一緒に演奏しているときに、ちょこっとクラシックの要素を入れて、「あのフレーズが良かったよね」とニヤッとするくらいの意図で、共有するもの。
楽しさを前提に使うものです。
sanのパターン
なお、さんを英語にすると、-sanが標準てきかなと。
少しフォーマル寄りなニュアンスがあれば、Sanでしょうか。
表記 | ニュアンス |
---|---|
Aki-san | 標準。敬意+親しみ。自然な日本的英語 |
Aki San | フォーマル。文化的距離を残す |
Aki san | この形で送ってくれるNon-Japaneseの方もいます。 |
Kojimasan | 続きで書いてくれる場合もあります。 |
-sanがいいのは、固有名詞の一部として扱うえるからです。
ひとつの名前(name+honorific)と見なされやすい。
「San」を独立した単語として扱うパターンです。
英語の文章ルールに従い、“Mr. / Ms.” に近いように見せたいときに使われます。
まあ、というルールを考えてみましたが、私にはもう一つルールがあります。
それは、相手に合わせることです。
そもそも正解がない使い方なので、日本人側としてこの単語を使ったときに、相手に「間違ったかな?」とか感じさせないようにします。
混じった方が実体感がある良さ
AIが文章を作る際に、自然に多言語を混ぜて表現するのは、苦手です。
-sanだけでは足りませんが、人間味を出す一如でもあります。
そもそも、ビジネスで「-san」とかは、避けるように言われることもありますが。
臨機応変に使って、異文化交流を楽しむきっかけになるといいものです。
【編集後記】
敬称で、先生(sensei)を使ってくれる方もいます。
複数の士業の先生とNon-Japaneseでやり取りする際に、お気づかいいただいているのかなと。
英語のsenseiは、一般的には、レゴニンジャゴーのウー先生とか亀仙人みたいなイメージが強いらしいです。