ChatGPTの利用で論文をまるまま書くとひょう窃なのか

一人事務所を大阪で営む税理士のブログ | ChatGPTの利用で論文をまるまま書くとひょう窃なのか

論文にChatGPTを適用するかが話になっています。教育機関の態度は、「利用する」「利用しない」に大きく分かれています。ただし、向き合い方を考えた上で使っていくことに収斂されそうではあります。「利用しない」について、ひょう窃の可能性をうたっているものもあります。利用がダメな場合、なんでダメなのかを含めて考えてみます。

もくじ

ひょう窃に当たるのかの検討

群馬大学の注意喚起

群馬大学が発表した「ChatGPTなどの生成系AIについての注意喚起」では、「ChatGPTなどの生成系AIやウィキペディア等の文章をほとんどそのまま書き写して」作成したレポートや学位論文において資料することをひょう窃としています。使用についてひょう窃に当たる可能性を言及していない大学もあり、この差はどこから来ているのかと疑問に感じました。

もちろん全面禁止をしているわけではなく、「ほとんどそのまま」使う場合が該当するとしています。これはどこから来ているのでしょう。

「Do Language Models Plagiarize?」におけるGPT-2の検証

Jooyoung Lee、Thai Le、Jinghui Chen、Dongwon Leeの4名の共著で書かれた「Do Language Models Plagiarize?」ではAI-generated textが盗用問題に関与する可能性に焦点を当てています。

この論文の中で、ひょう窃(の一種)に当たると評価されています。ただし、検証したのはGPT-2を利用した場合という前提です。現在の主流はGPT-3.5であるし、有料の場合はGPT-4を使っているので、この指摘は一考に値するとしても論拠としては弱いでしょう。

生成系AI

よく考えれば、生成系AIというようにひとくくりにされているので、なにがよくてなにがダメかをまるっとくくって禁止を促している内容です。まだまだ、はっきりしない感覚を受けます。

教育期待の問題と倫理的な問題

禁止をするかしないかは、各教育機関の自由でいいです。教育上の効果を問題視する上で、効果を落とすということを論拠に使用するしないを決めればいいでしょう。

小説を盗用してしまっている可能性も議論になっています。これは、してしまっているというより、してしまっている可能性を排除できないことが問題視されるのでしょう。こちらは、商業的なことも絡み、著作権に耐えられるかという話を禁止にするかの基準にしています。

論文でも著作権が発揮される部分があるため、似た議論が出るのは当然かもしれません。

教育機関における利用する・利用しないと対応

群馬大学のように丸写しを禁止として、その論拠はひょう窃とするという議論があります。一方で、カーネギーメロン大学でのコード抵触は別の点です。不正行為、ひょう窃、無許可の援助の3種類が発生する可能性に言及をしていますが、最も直接発生するのは、無許可の援助という考え方です。

ハーバード大学が挙げている対策の選択肢としては4点あります(以下は意訳です)。

  1. 無視する
  2. 禁止する
  3. 役立たないテストを出す
  4. 使い倒す

よくSNSなどで「対策ができた」といっているのは、3の方法が見られます。

東京大学の解釈を見ると上記のうち使い倒すに近い気がします。大学阪大の解釈も、注意をしつつ使用上うまく付き合うことを述べている感じです。日本は著作権でも、他の国よりAI制作会社寄りの構成にされており、最終的には使わないよりも、使う選択肢になるのでしょう。文系分野が目立つかもしれませんが、数理分野の解析で研究の仕方を変えるほどのインパクトが出ることも言われていますので。

使用するにしてもルールを作るという意見もあります。Generative AIの発達によりそこまでの議論はまだまだ途中の気がします。

実は、問題作成者側の方も問題では?

AIが出てきて発達するのは問題作成者側もです。ということで、ChatGPTで簡単に回答できるという話もあれば、一方で問題も難しくなる可能性はあります。また、問題文の著作権も気になるところです。問題については、編集著作物(著作権法第12条)として検討が必要です。文章題などで、唯一性があれば保護対象でしょう。しかし、一般性が見られる問題については、同様に自由に使われてしまいそうです。

英訳文や、英文に対しての質問を作るやり方は、初期の頃にニュースで取り上げられていました。学生数の方が多く、評価側の権威性もあるので、問題作成側が論点になることがまだ少ないように感じます。今後もう少し課題になるべき点でしょう。

まとめとして

倫理的な意味でなぜダメなのかは理解できるかもしれません。しかし、ひょう窃になどで卒業後に処罰する法律がなくうまく対処ができなかったように、どう対処するか規定が最終的に必要です。そこまでのルールが出きらないまま4月になり、前期や1学期後の影響を見て、夏くらいから少し議論が起きるのかもしれないです。

ルール側としても注視したい点です。

【編集後記】
今後の方針を色々と考えつつ。

【運動記録】
ストレッチ○ ジム○

【子育て日記(5歳・2歳)】
子どもの体力が凄まじいです。着いていけるようにこちらも体力を整えないとと感じています。

もくじ