消費税の簡易課税制度での益税発生例

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よく分かる税法入門(三木 義一)を読了しました。この中で消費税の益税について語らてているのですが、益税を考えるにあたっての具体的な例示を図示することで益税の発生の流れを追ってみましょう。
 
税法入門書

*今回の参考事例

 

益税とは何か

税金計算の中で、本来は税金として国に納めるべき金額が、国ではなく納めるべき人の懐に入ってしまうことを益税といいます。
 
益税は、課税の公平性からも問題です。消費税の計算をしていくと、こんなことが発生しているのです。仕訳を含めて具体的に事例を見てみます。 
 

消費税の簡易課税制度での益税発生例

前提と益税イメージ

仕入れの率が70%(利益を30%のせている)の卸売業者を想定します。売上1250万円なら、仕入額が875万円となります。

その際の原則納付であれば、30万円を国に納めます。こんな図ですね。     

 
 
 
 
それが、簡易計算をすると20万円は懐に残ることになります。
 

原則計算

 仕訳でもみてみましょう。
 

原則計算の仕入の仕訳

     (仕入)875万円               (現金)945万円
     (仮払消費税)70万円
 
 

原則計算の売上の仕訳

     売上1250万円、税率8%とする。
     (現金)1350万円(売上)1250万円
                              (仮受消費税)100万円
 
  

原則計算での納税部分

仮受消費税100万円-仮払消費税70万円=30万円を納める
これであれば益税は発生しません。
 
税負担は、支払った消費税70万円+納めた消費税30万円=100万円
消費者から100万円預かっているので、ちょうどの納付となります。

結果、この図ですね。

 
 
 

簡易課税制度での計算

簡易課税制度の仕入の仕訳 

 仕訳時は同じです。
     (仕入)875万円               (現金)945万円
     (仮払消費税)70万円
 
 

簡易課税制度の売上の仕訳 

     売上1250万円、税率8%とする。
     (現金)1350万円(売上)1250万円
                              (仮受消費税)100万円
 

簡易課税制度での納税部分

売上の90%が卸売業者の仕入れた金額とみなされて仕入時に支払った仮払消費税を計算していきます。
          1250万円x90%x8%=90万円
 
 
結果として、「仮受消費税100万円-仮払消費税90万円=10万円を納める」となります。

税負担は、支払った消費税70万円+納めた消費税10万円=80万円
消費者から100万円預かっているが、80万円しか納めていない=20万円が益税となっています。

 
結果この図のようになります。 
 

 

 
 

益税はテクニカルなところから発生

簡易課税制度は、税金計算の負担を下げるためにおかれた制度ですが、上記のように益税を発生させることになってしまっています。

税制は、公平性をうたっておきながらも、どこかで制度の歪みとして公平でない部分が出て来ています。

 

消費税の食品非課税の話は昔から

公平でない部分に近い話で、消費税の食品課税をやめる話もよく出てきますね。

イギリスの例を見て見ます。イギリスでは食品への課税がされていない(厳密には0%課税)のですが、それは野党との駆け引きの結果「食料品については永久に課税しない」となっているからです。
 
所得が低い人の方が所得が高い人よりも支出の食料品に関する割合が高くなります。食料品を減らそうと思っても一定の量が必ず必要なことから、結果的に所得の低い人の負担が大きくなります。
 
日本でもできるとありますが、国としてはその分の税収が減ってしまいます。この点は税法体系というよりも国の財政としての目線の方が強いでしょう。
 
益税のような問題もはらみ、政治内の話も絡み、税法は完全な公平ではないということの理解付に使ってみましょう。
 
 
 
 
 

【編集後記】
税法は直接計算でかかわることが多いので、改めて理論的なところを掘り下げていくのは面白みがあります。 理解のために良い本でした。

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