判例とその読み方:判例が法源となる理由など

論文を書く際に、帰納的に
裁判からの要素を抜き出すなら
必ず判例と向き合います。

判例をどれくらい分析できるかにより
その論文で出てくるものも
変わってくるでしょう。

一つの参考書として
「判例とその読み方」の内容を紹介します。

判例とその読み方三訂版

判例とその読み方三訂版

  • 作者:中野次雄/中野次雄
  • 出版社:有斐閣
  • 発売日: 2009年03月
目次

書籍の使い方と実践

本書は判例批評に慣れていない方には
読みにくい書籍でしょう。

電化製品を開梱して使うのが先か
マニュアルを読み込むのが先か。

これと似たように、一度程度は
判例評釈を行った後に読み込むことで
より判例評釈の理解を高められます。

読むにしても、多分野に渡るため
特定分野に特化しようという方は、
まずその分野から読み始めることで
十分かなと考えます。

法律上の「判例」の意味

「判例」は法律上に規定がされています。

刑事訴訟法 第405条
高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。

一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
(下線・太字は筆者)
刑事訴訟法 第410条
上告裁判所は、第405条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。但し、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合は、この限りでない。2 第405条第2号又は第3号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。
(太字は筆者)
これを見るに、「最高裁判所の判例」と
「高等裁判所の判例」との言葉が出てきます。

しかし、本書では、前者のみを
厳密な意味の「判例」としています。

理由として

「判例とその読み方」 P9

同じ判例でも、先例としての力、実務を支配する力には違いがあり、そういう強い力を持っているのは最高裁判所(戦前でいえば大審院)の判例だけであって、それ以外の裁判所の判例にはそういう力はなく、単なる参考資料としての意味を持つにすぎない(下線・太字は筆者)

と説明されています。

判例が法源になる論理

判例が法源になるのは、
以下のような回り回った論理からです。

court organization and decision

裁判官はその良心に従うため、
通達などで結論の統制はできません。

しかし、良心といっても
個人ではなく、裁判官としての良心です。

これとは別に、裁判所は機関として
結論が統一されるべきと考えられます。
誰が判断するかによって罪状が変わるなどは
裁判所の機能としておかしいですよね。

裁判所内で下級審の判断を覆せるのは
上級審となるため、判例により上級審の意図をくみます。

結果として、判例が法源のように
裁判の現場を縛る結果となります。

 

憲法 第76条 
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
とあるため、上級審が決めた内容でも
良心以外に従えば憲法違反になるなら、
判例が法源になるのは変だと感じる方が
いるかもしれません。
ですが、上記のような理由で
法源となっています。

わかりやすくしていますので、
正確な論理展開は本書を読んでみてください。

 

判例を研究することで、上級審の
判断を予測できるようになることが
その研究目的の一つでしょう。

傍論の扱い

判例を読む際に気をつけることは、
判例としての内容なのか、
傍論なのかです。

たまたま述べたに過ぎず
裁判の結論に到達しない論理のうちで
あれば、判例の証明結果として
使用できないと考えられます。

イメージはこうですね。

判例と学説の互いの影響

判例を分析することで学説に
影響を与えます。

また、法曹の養成の段階で学説を
必ず学ぶため、学説は裁判官の
法律判断に影響を与えます。

「判例とその読み方」 P115
学説は裁判(裁判実務)に理論を提供し、判例は学説の世界に対し素材とこれに対する結論判断とを提示して理論の研究に資する関係

として説明されています。

射程とは、抽象度

判例研究をする際に必ず出てくるのが
「射程」という考え方です。

A裁判の結論の出し方と同じ考え方で
B裁判が判断できるとき、
A裁判の射程はB裁判に及んでいます。

しかし、前提条件が違うわけですから、
A裁判の考え方はC裁判には適用できないかもしれません。

この場合、C裁判はその射程の外となります。

抽象化した際にその範囲に入るのか
入らないのかが射程とも言えますね。

「判例」の意味はどう使うべきか

判例を上記のような狭義の意味で使うべきかは、
最終的に指導教員に従っておくといいのかなと。

判例タイムズ」という法律関係で有名ない雑誌が
ありますが、地裁の判例という呼び名でも
記録を紹介しています。

判例を裁判結果という意味で使うことが
間違いではありません。どこまで(学問上など)
狭義の意図を持たせるかは、
議論の厳密さをどこに置くかによります。

最高裁判所の裁判結果以外を判例と呼べない
わけではないのかなと。

「判例」定義の厳密さの段階は
こちらの図を参照してもらうとよいです。

その他

触れていない内容で、判例の変更や
実例について記載されています。

判例の読み方についてちょっと学んで
みたいときに見てみてください。

判例とその読み方三訂版

判例とその読み方三訂版

  • 作者:中野次雄/中野次雄
  • 出版社:有斐閣
  • 発売日: 2009年03月

【編集後記】
どの判決・判例を使うかちょっと整理し直してます。
判例研究は後期に行う大学院と前期から
飛ばして行う大学院がありますね。

【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○

【子育て日記(3歳)】
抱っこするとだいぶと重くなりました。
でも、おんぶではまだまだ軽いです。

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