家族のあり方と租税法は深い関係にあります。

研究テーマとしてもよく議論がされるところです。
例えば、大学院でのテーマとして所得税法56条を挙げる方もいらっしゃいます。
複数の方からこのテーマを聞くということは、家族やジェンダーというラベリングをしていないながらも、ここに分類される問題に関心を持っている方が多いといえます。

これらの問題を取り扱った本として、「多様化する家族と租税法」をご紹介いたします。
テーマの方向性などにも参考になる本です。
丹念に諸外国の事例も紹介しているため、比較法の観点で問題を検討することができます。

公平性と標準モデル

租税法内部において公平性が担保されていても、租税法が基軸としている他法令の中にジェンダーバイアスが存在すれば、結果的に租税法の公平性の取扱いにおいても疑義が生じることを内部で指摘されています(P.29)。

租税法だけの議論としにくいですが、この分野の租税法において、で公平性への問題意識を共有できます。

 

でも、一般的な議論上の前提を持つのは難しいところです。
よく言われるのは、子どもがいる家庭といない家庭の女性の賃金格差の問題です。
また、子どもがいれば、扶養料、財産分与、養育費の支出も出るでしょう。

選択的に結婚をしない方もいるでしょう。

また、女性の活躍を考えることを当面の社会の目的すれば、裏返しとして男性が家にいえても違和感がない社会の実現という視点も出るはずです。
寡夫の問題への取り組みが遅かったように、時代の反動から男性に係る問題は、後回しにされそうですが。

世界的には、対象においてLGBTQも含めて法的婚姻からパートナーシップへ移ることがされています。
また、法律は、なにか個別の他国の要素を抜き出して、自国における適用を正当化することが正しいとはいいきれません。
日本がこのまま進むとして、他国でパートナーシップで婚姻関係が認められているものを、日本において法的な婚姻として取扱うかは、当面の問題として発生すると考えられるでしょう。

 

租税法における他法令との距離のとり方

研究をされる方にとっては、租税法と他法令との用語の意義の距離のとり方も参考にできます。

家族を考える上で、「婚姻」が出てくるでしょうが、憲法24条の定義を確認した後に、租税法上の定義を確認しています。
同様に「親族」について、民法→租税法の流れとなっています。

租税法における借用概念がありつつも、それは租税法上で定義がされていない場合が主です。
また、定義がされていなくても、無批判に租税法においても他法令の定義を取り入れられるかは吟味が必要です。

 

なお、現状の最高裁の判決からは、租税法上の「配偶者」が民法上の配偶者を指していると判断できます(最三平成9年9月9日、訴月44巻6号1009頁)。
また、通達では、配偶者は法に規定する配偶者としながらも、外国人で民法の規定によれなければ、法の規定に関する通則法によることとされています(所得税基本通達2-46)。

民法では学説や判例上内縁関係が保護され、借地借家法第36条では事実上夫婦であった者への賃借権の承継が認められています。
税法に詳しければ、租税回避に使われるという観点が出てくるでしょう。
租税回避の例は、イギリスの裁判例で紹介してくれています。

くっつく話もあれば、離れる話として、離婚と税制についても触れています(P.165)。

 

租税法と家族

本書の代表的な論点として、配偶者控除、所得税法第56条、相続の観点があるといえるでしょう。

配偶者控除は、今日的意義として、最低生活費の保障、基礎控除や配偶者控除を含む人的控除として憲法第25条の自由権的性質や生存権を根拠とするとしています。
しかしながら、世代間の公平を考えれば、共働きも増えていることから、夫が働き・無職の妻がおり、子どもが2人程度いるというものを標準として考えているのは、うまく当てはまらない可能性が指摘されています。

所得税法第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)についても、議論があります。

相続税法においては、例えば配偶者控除がいくらであれば適正かの話がございます。
バブル期の土地高騰から、8,000万円の控除限度が1億6,000万円に増額されていますね。

また、どこまでを結婚の扱いにするかという点もあります。

  • 結婚を緩い形で形成するパートナーシップ制度をどうするのか、
  • 同性婚を認めるか、
  • 重婚状態(事実上の別居状態にある法律上の配偶者に対し、内縁関係にある者がいる場合)をどう扱うか

といった点でしょう。

 

一例とすれば、のびた君の家とスネ夫君の家を比較できるのか・できないのか。
比較できたとしても、その合理性があるのか、議論が分かれる点でしょう。

 

読み込むのに前提知識が必要ですが、広範囲に調査されているおもしろい書籍でした。
興味がある方は、ぜひ手にとってみてください。

 

【編集後記】
たまった本の売却。
買った金額の10分の1もしないものもあれば、需要が旺盛なのか10年前の書籍なのに高額なものもありました。
処分方法は、また検討しようかなと。

【運動記録】
ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○

【子育て日記(3歳・0歳)】
買い物に付き合ってもらいました。
プレゼントを贈りたいので、その準備で聞き取りも。