租税法を理解するための憲法理解:憲法が生まれた流れ

空と時計

租税法を理解する際に、概説書には憲法との関係が出てきます。
租税法も法律ですから、憲法によってその方向性が規制されているからです。

根幹とはいえ、分かりにくいところでもあります。

租税訴訟には憲法に絡んだものとして大島訴訟があります。
ただ、その他に憲法が論点になることは多くないようです。
憲法が論点になることが少ない理由までも含めて論理を進めていくつもりです。
まずは、憲法が成り立った背景から理解していきましょう。

では、始めます。

 

空と時計

*空と時計

もくじ

憲法は何のためにあるのか?

憲法は民法や租税法などの他の法律とは違います。

他の法律の親という性質だけでなく、次の3つの点が挙げられます。

  1. 強いものに歯止めをかける役割
  2. 長期的目線
  3. 理想を掲げている

憲法には、権力者が統治をする時のあり方を定めるものなのです。
つまり、憲法は権力に向けられたものなのです。

96条2に、「国民の名で」とあります。
これは、国民の意志を強調しているということです。
 

 

憲法は権力者の力を制限するためにある

憲法という言葉が過去から統一して同じ意味という訳ではないにせよ、成立の背景として「権力者の統治の仕方を憲法に基づかせようという考え方が散見されます。

こういった考え方が立憲主義です。

立憲主義では、権力者を制限して国民の権利や自由を実現させるために採用されています。

 

 

 
 

法治国家と法の支配

ちなみに、似た名前で、法治国家法の支配について補足をしておきます。

法治国家は「形式さえ整えば内容は気にしない」というものです。
法の支配は「形式と内容にもこだわる」というものです。

日本は法の支配ですね。

 

そもそも国家とは?

国家とは、土地・国民・権力者の組織体で、権力者とは嫌なことがあっても従わせる力があるものです。

原始的な国家では、権力者は自由に統治のやり方を決めることができました。
自由であったり権利であったりは、権力者の恣意的な考えの下に存在していたのです。

 

絶対王政と立憲的な現代の違い

絶対王政は、統治者の考えがそのまま統治のやり方に反映されるような権力の元に統治がされています。
王権神授説に基づくようなやり方です。

立憲的な現代の統治は、よく知っている通り違います。
一つは、自由と権利を保証するための立憲主義は人権保障を定めていること。
また、三権分立(立法・行政・司法)がされていることです。
((フランス人権宣言16条で、「権利の保証が確保されず、権力分立が定められていないいかなる社会も憲法を持つものではない」とあります。裏返しの意味ですね。))

こちらは、授権規範性とも言われ、憲法が国家権力に権限を与える形となります。
つまりは、憲法が定めた権限を超えるものは国家に与えられない(制限規範性)のです。
また、憲法は全ての法律の上位にあり、憲法に違反するような法律は作ることができません(最高法規性)。

 

憲法はこういった性質によって、国民を縛るのではなく国家権力を縛るのです。

 

租税法の論点で、憲法解釈が問題になるのは国家権力を縛っているこの性質があるからでしょう。

 

 

 

 

憲法が生まれた理由

憲法の雛形となるような形は(身分制がまだある)ギリシャ・ローマの時代に生まれています。

「人間は自由であるべきだ」という考え方がありました。
この考え方が、権力の分けて互いに牽制することで濫用を防ぐ試みをしていました。

これが上記で紹介した立憲主義のさきがけです。

 

社会契約説

ここにジョン・ロックが提起した社会契約説があります。

  1. 各人がプロパティ(固有権)((生命・自由・所有物というもの。神によって生まれながらに与えられている権利))を持っている
  2. 神が与えた権利(プロパティ)と義務を釣り合った状態にすること。それを神が望んでおり、この状態を維持する権利(自然法)を持っている
  3. 個人個人の利益もあり、「自然法」の状態は勝手には達成されない。だから、自然法を執行する権力を一つにする

 

ちなみに、トマス・ホッブズも社会契約説があります。
ジョン・ロックの社会契約説は、自然状態で自然法がしっかりあるという考えです。トマス・ホッブズは自然状態では自然法が不均衡と考えておりました。

ジョン・ロックの思想から、国家に一人一人が自然法を信託し、その代わりとしてプロパティを守ってもらう。そういう近代の憲法に近い考え方になっていきます。

ジャン=ジャック・ルソーの権力へ自由やシャルル・ド・モンテスキューの三権分立の考え方にも繋がっていきます。

 

フランス革命の犠牲から生まれた憲法

中世ヨーロッパでは、国民は封建的領主に法によって制限をされています。そして、封建的領主は教皇によって制限をされていました。

この状態に対して、身分制による社会を無くそうという運動として1789年にフランス革命を起きました。

租税法の話をしているので触れておきますが、不満の一つには税金の経済的な不満も入っています。
租税法を念頭においたことが憲法に入っているのはこの点からもあるでしょう。

フランス革命の結果として、権力分立が取り入れられ、そしてもっとも重要な個人の自由が織り込まれます。

個人の自由の精神は近代の憲法につながるところでしょう。

 

日本国憲法の誕生

日本国憲法の前には、大日本帝国憲法(明治憲法)がありました。こちらも立憲主義の発想が入っていたのですが、上からの憲法であったため、君主制の形が強いです。

敗戦後、ポツダム宣言を受託しGHQによって憲法草案が作成され、草案の中での三つの原則として

  1. 天皇を国家元首とするが、機能は憲法の定めに従って国民の責任を負う
  2. 戦争放棄
  3. 封建制の廃止

が入れられました。

 

明治憲法から変わった大きなことは、国民の権利保障が大きく入れられたことです。また、明治憲法では天皇が統治権を持っており、三権分立ではありませんでした。また、明治憲法下では、天皇が自由意志で行った行為に対しても「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」という内容で責任を問われないこととなっていました。

新憲法になり、主権の存する日本国民と定め、ジョン・ロックが提唱した国民主権の考え方を取り入れた内容になっています。

 

まとめとして

憲法へ影響を与えた思想もみてきました。

憲法はもともと法律というよりも法律を規制する理想的な側面があります。
租税法律主義といった租税上で重要とされる規定も、憲法を求める過程であった個々人の自由を求める思想からきている側面があります。

三権分立もあり、裁判所がこの個人権利と国家権りをしっかりと調整すると。

しかし、別にまとめますが、裁判所の憲法への関与度は大きくはないのが実情です。
租税法と憲法の論文が起こしにくいのも、こういった点が関与しているのではないでしょうか。

今後、具体的な日本の憲法についてもう少しまとめ、租税法への理解につとめる内容をまとめます。

 

【編集後記】
小説家になろうの物語は面白いのですが、統治の意味では権力者が平気で存在しますね。
異世界に行った主人公の考え方や、それに味方する人たちはそこそこ現代的な立憲主義の考え方を平気で持っています。

一方で、適役や悪役の役割の人は絶対王政的です。
物語としては違和感がありませんが、それに味方する人たちはどうやってこれほどまでに立憲的な考え方を持てるようになったのかには疑問が出ます。

面白いからそこはいらないのかもしれませんが。。

【運動記録】
ジョギングO ストレッチO 筋トレO サプリO

【昨日のはじめて】
至高の木綿

【昨日の子育日記】
週末で疲れがたまっていたせいか、寝かしつけで眠くて一緒に寝てしまいました。
本人も遊び疲れてぐっすりです。

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