租税法入門としての日本国憲法:なぜ裁判所は違憲判断をしないのか?

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租税法を理解するために、憲法そのものの産まれた方向性を理解するまとめをしました。

租税法を理解するための憲法理解:憲法が生まれた流れ

 

今回は日本国憲法について、三大原理、国民主権、法の支配について考えていきます。
また、なぜ裁判所は違憲判断をあまりしないのでしょうか。

研究計画書を書く際に、議論になるのかを見極めたいところです。

まとめてみましょう。

 

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*カフェにて

 

もくじ

憲法の三大原理

憲法が貫く考え方を見ていきましたが、憲法の基本原理とは何でしょうか。

それは

  1. 国民主権
  2. 基本的人権の尊重
  3. 平和主義

です。

といっても、一見租税法とあまり関係ない感じですね。
基本性質をおさえるとともに、憲法を貫く価値観を考える必要があります。

 

国民主権

まずは、国民主権。この考え方があるから、個人が尊重されています。
課税に関しても基本的に尊重した扱われかたをする根本的理由でしょう。

憲法は、法や国家ができる以前から、誰もが人間であるい以上、生まれながらにして当然に持っている権利として定められています。

 

また、13条にはこのようにあります。個人の尊重という考え方です。
人権保障、民主主義も国家からの自由もここに考えのもとがあります。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

憲法は、多数派から少数派を守るためにあるという性質もここに出ています。

 

 

法の支配

租税法において、租税法律主義の考え方が最初の原理として強く出てきます。

 

封建時代は人の支配でした。
偉いとされる人がその人の考えによって人を支配していました。

それも統治者へ一部の自然法の委託をするという考えに変わり、法の支配になっております。
三権分立も法の支配のために重要な考え方ですね。

法律において手続きをしなければならない考え方は、31条にあります。

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

魔女狩りのような不合理な手続きではいけない。
適正手続の保障も、法の支配の重要な一側面です。

ここから黙秘権の考え方も出てきます。

過去に自白が決定的な証拠として認められてきたときは、どうやってか自白を取ろうとされました。

ここから冤罪が生まれます。

冤罪防止の考え方で、「どんな被疑者でも黙秘は正当な権利である」「強要された内容では有罪にできない」という考え方が生まれます。

一人も犯罪者を逃さないという考え方ではなく、一人も冤罪者を出さないのだという考え方がここにあります。

 

なぜ裁判所は違憲判断をしない?

租税法を考える際には、租税研究として判例の研究が行われます。

だから、裁判所が租税法の見地で物事を違憲だと判断するかが、学習者としてきになる点です。

ただ、調べていくと違憲判断自体が多くは出ていません。

なぜ控えめな判断なのでしょうか。

 

裁判所や裁判官の独立

裁判所や裁判官を拘束するのは、憲法と法律のみです。
当然、政治的な介入を防ぐという観点があります。

だからこそ違憲審査制という機能が持たされております。

この違憲審査制の考え方はアメリカからきたものです。
法の支配の中核的な考え方を持っています。

 

 

具体的な事例なしに違憲審査は行われない

一般論のような違憲審査は行われません。

例えば、「死刑判決が違憲か」は、具体的な裁判があってこそ判断がされます。
租税法の内容においても同様で、「平等」の考え方のそぐわないのではないかという考えは、具体的な事例があってこその判断となるのです。

租税法を学ぶと必ず出てくる大島訴訟。
具体的な争点として出てきたからこそ憲法との関係性を吟味できたのです。

 

司法消極主義:なぜ違憲判断に消極的なのか

では、なぜ裁判所は違憲判断に消極的なのでしょうか。

それは司法の独立性の裏返しと裁判所の起源によります。

 

裁判所が、政治部門の影響を排除しようとするのは、上記で述べたとおりです。
しかし、政治部門への影響を排除するために逆に民主的な正当性が弱くなっているのが実情です。

国会や政府の判断を尊重するという姿勢を取ってしまうからです。

これを統治行為論といいます。
国家統治の基本に関する高度な政治性”を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、これゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論です。((Wikipediaから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%AB%96))

 

また、裁判所は、もともと違憲裁判を前提とした組織ではありません。
よくある批判として与えられた憲法であり、勝ち取った憲法ではないと。
勝ち取ったものでないから、守る・判断するという観点が少し薄いのです。

 

まとめとして

租税法を学ぶと大きな例題として大島訴訟を学びます。
しかし、案外とそれ以外は租税法との絡みが出てこないです。

これは、具体的な訴訟内容がなければ裁判所が憲法判断をしないということが理由です。
また、判断をしたとしても統治行為論から、あまり積極的な違憲判断をしないという性質があります。

 

とはいえ、個人を尊重する考えであったり、法の支配、正当な手続きを求めるといった租税法状の考え方を憲法自体も持っております。

租税法を考える上での基本原則と合うこと理解しておくと良いでしょう。

 

【編集後記】
採用活動をしていますが、ほとんど営業活動です。
会社によっては、トップの営業を人事に回すというところもあります。
感覚的同意できます。

もちろん、トップ営業を売り上げに直結しない(ように見える)採用に回すことができるのは、もともと強い会社なのかもしれません。

【運動記録】
ジョギングO ストレッチO 筋トレO サプリO

【昨日のはじめて】
映画 ミニオンズ

【昨日の子育日記】
寝ているときの横もれなどとの戦いが始まってしばらく経ちます。
夜中に洗濯し始めるのはなかなかこたえるものですね。
少しずつ対策をしています。

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